色白ゆうじろうの無味無臭ブログ

怪奇・ホラー漫画を中心に、小説、エッセイなど読み物を投稿してます。

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母、非常駐車帯で叫ぶ 後編

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前回のつづきです。

筆者の

「広島にいっちゃうんじゃない?」

という軽はずみな発言で、母は恐慌をきたしてしまいました。

普通、子どもが
「このまま広島にいっちゃうんじゃない?」なんて言ったら、笑って

「広島に行くまで何時間もかかるよ。その途中降りるところがあるさ。」

なんていうと思いますが、母は本気にしたんです(笑)


母は、知らない地名で降りるか否かパニックになりました。

弟と筆者もパニックになって、大原で降りるかどうするか言い争いになりました。

どっちかが「もういいから大原で降りろ」と、言っていました。

今でも、大原で降りろと間違ったことを言ったのはどちらかで弟と係争中で、決着がついていません(笑)

どうしようもなくなった母は、非常駐車帯に避難しました。

道がわからないという理由で。


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これですね。交通事故、車両故障などで避難する場所です。


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もう夜でしたのであたりは真っ暗でした。

制限速度70キロなので、高速のヘッドライトが次から次へと通り過ぎていきます。

母は、すぐさま非常電話のボックスを開き、受話器をとりました。

非常電話は警察直通の電話です。

子ども心に「単なる道迷いなのに
と思いましたね。

ですが、思い直したようですぐ受話器を戻していました。
あとで聞いたことによると、父に知られて怒られると思ったからだそうです。

それから母は泣きながら父に電話していました。
父は心配して「今どこにおるんだ!!」と切迫つまって聞いてきたそうです。

結局、父の地理教示もむなしく、母はわからなかったそうです。
父も父で「まっすぐ行け!」としか言わなかったんでしょう

それから母は、突然車線に飛び出しました。

そして、「止まって!止まってー!」と手を振って絶叫、行き交う車を止めようとしていました。

道を聞こうと思ったんでしょうね

真っ暗な自動車専用道を、母が、ダッシュで車線に出ていくのです。

行き交うドライバーの方は目を剥いていました。

その光景を目の当たりにして、12歳と9歳だった、筆者と弟は恐怖と不安で体が動きませんでした。

しかし、止まる車はありませんでした。
車は母の横をすり抜けて行きました。

しばらくして、冷静になったのか母は車に戻りおそるおそる出発しました。

どのみち引き返せないですから。

すると小郡ICにすぐ到着、無事バイパスから降りることができました。

家に着いて、母は友人に電話をして、怖かったと号泣していました。

母は、人の説明もよく理解できませんし、
道に迷ったときも命懸けなのです。

筆者12歳、母42歳の苦い思い出です。