今週のお題「最近読んでるもの」
読書感想というほど大袈裟なものではありませんが、最近読了した作品を紹介しようと思います。
秋の夜長に読んだものです。
D・R・クーンツ「ウォッチャーズ」
ですね。
ジャンルは…SFホラー…いやSFサスペンスかな
面白かったです。
上下巻のボリュームはありますが、一気に読めるような展開でしたよ。
簡単にあらすじをご紹介します。
ネタバレはしませんのでご安心を。
人生に悲観し、絶望していた男トラヴィス。
彼は、とある事情により、人を愛すること、愛し合うことができなくなり、絶望していました。
彼が絶望の中で向かうのは、かつて慣れ親しんだサンティアゴ・キャニオンの大自然。
彼の手には銃が握られています。
しかし、自分に向けるわけではなく、かつて自然を駆け人生が楽しかったころを思い出し、ガラガラヘビ狩りでもやろうとやってきていたのです。
そんな中、森から汚れたレトリーバー犬が飛び出します。
人懐こく、追い払おうとしますが離れません。
困っていると、森の奥から謎の存在が敵意を向けこちらに迫っていたのです。
レトリーバーに促されるまま、彼を連れ、そこから逃げ出します。
トラヴィスは犬を連れる事になってしまったのですが、犬の奇妙な姿に驚愕します。
犬は、自分でグローブボックスを開けてチョコレートをくれとせがんだり
犬を洗おうと熱いお湯を張った容器に水を入れたりし始めたのです。
蛇口は閉まっていたのに…
「このレトリーバーはおかしい。人間のように知性があるのでは…」トラヴィスはそう思います。
トラヴィスと犬は次第に絆を深めていきます。
犬の心に、トラヴィスは自分の中に失っていたものを取り戻していきます。
しかし…やがてトラヴィスとレトリーバーを、国家機関や裏世界の陰謀が飲みこんでいくのです…。
…そんな感じですね(笑)
ふわっと書きましたが、あんまり詳しく書くとネタバレしそうで(笑)
登場人物が多彩で、主人公トラヴィスは元軍人のタフガイ(…にしてはちょっと繊細で神経質な感じに私には見えましたが)です。
人を殺すことに喜びを見出し、死んでくれた獲物にキスをして感謝する(時代背景が冷戦時なので。今はそんなことするとDNAが出てしまいますけどね)几帳面なサイコ殺し屋ヴィンセント・ナスコ
毒親の叔母に閉鎖的に育てられ、人を信じることなく、暗い服を着て自分の殻に閉じこもり…世の中の脅威から自分を守っているひ弱な女性ノーラ
女性に威圧的に接し、支配することに喜びを感じる危ない修理工アート・ストレック
国家機密に関する謎を調べ、国家を守ろうと奔走する冷静沈着な国家安全保障局(NSA)の黒人支局長 レミュエル・ジョンソン
ジョンソンの友人でありながら、オレンジ郡の保安官ウォルト・ゲインズ
彼らの物語が、並行して進みながらも最後は一つの結末へと収束されていきます。
レトリーバーが逃げていたのは、とある恐怖の存在だったのです。
レトリーバーを通じ、心を取り戻し、彼を守ろうとするトラヴィス。
身の回りの脅威に立ち向かおうと成長するノーラ。
少しずつ忍び寄る殺し屋ナスコの影
国家を守るべく奔走するジョンソンと、国家機関の秘密主義にぶち当たり、命を失った同僚の無念から友人のジョンソンに対立する保安官ゲインズ
ちらつく「ソヴィエト」やイタリアンマフィアの陰謀…
次々と人を殺していく「脅威」
果たして、トラヴィスとレトリーバーの運命やいかに…
すいませんそんな感じです(笑)
クーンツ先生の手腕がすごすぎて、私の稚拙な文体ではあらすじでもまとめきれません。
まあ、群像劇がひとつの結末へと向かっていくのです。早い話。
お楽しみポイントをご紹介します。
〇 レトリーバー「アインシュタイン」とトラヴィス…あと一人の心温まる交流を楽し む。…真相に迫るにつれ、アインシュタインとの関係を深める姿は微笑ましいです。
トラヴィスやノーラの成長にも注目です。
〇 国家の陰謀と、立ち向かう人々の群像劇を楽しむ。
国家であるNSAと、保安官、トラヴィス達とのやりとりが面白かったですね。どうやってNSAはこの問題を幕引きさせるんだろう…と成り行きを見守るのが。
…いつの世も、国家という巨大なものが生み出す者には…悲劇が付きまといます。
結末は若干ジェットコースターというか、駆け足感を感じましたが、それでも面白く読めました。
犬好きな人、国家の陰謀系が好きな人、登場人物たちが前向きに成長していく姿が好きな方…
そんな方におススメな物語でしたね。
秋の夜長にいかがでしょうか。