色白ゆうじろうの無味無臭ブログ

怪奇・ホラー漫画を中心に、小説、エッセイなど読み物を投稿してます。

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日曜の百貨店、チキンライス

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退職したベテランの方に、百貨店の思い出を聞きました。

 

現在はありませんが、山口県の某百貨店では高い階層にあるレストランの「チキンライス」が人気だったそうです。

 

「日曜になると、いつものボロじゃなくて、ちゃんとしたおめかしをしてな。チキンライスを食いに行ったんだ。それが美味しくてな」

 

日曜日はおめかしをして百貨店へ。

思い返せば、私がまだ子供だった平成初期はまだそんな習慣が残っていた気がします。

 

残念ながら私は蝶ネクタイをして、チキンライスを食べに行った覚えはありません。

私が物心ついたときには、そのレストランもなくなっていたと思います。

 

母方の実家にも、百貨店がありました。

バスに揺られて百貨店に行き、おもちゃ屋を覗き、屋上の遊園地で遊んだ記憶があります。

 

百貨店へのお出かけは子供時代の楽しい記憶として残っています。

 

記憶を辿るように、私は社会人になってその百貨店に通ってみました。

バスに揺られ、百貨店に入り、ブラブラと見て回る。

子供の頃に心酔した屋上遊園地はすでにありませんでした。

巨大に見えたゲームセンターも、どこかこじんまりとして、子供時代とリンクしません。  

 

縁のない化粧品やブティックを横目に歩きます。

なんとなく、デパ地下でひとり弁当を買ってベンチで食べたりしてました。

(妻に話すと、寂しすぎて死ぬほど可哀想と言われましたが……孤独に無自覚でした)

 

美味しかったです。

ですが、何か物足りない…

 

そこで理解したのです。

大人になり、色々なものを食べ、見聞きして経験をしてると……幼少期の感受性が作っていた世界は、色褪せてしまうのだと……(泣)

 

まあ、子供の頃の記憶ですからオーバーに美化されている事もあると思います。

 

ですが、私は未だにWindows95とか、フロッピーディスクの音とか、屋上遊園地や、古いゲーム筐体……そして百貨店を見ると胸がときめくのです。

 

息子は「お父さんのレトロ趣味」といいます。

 

おそらく、今息子が見ているであろう感受性豊かな世界を、ノスタルジックに追い求めているのだと思います。

 

日曜の百貨店、チキンライス

ベテラン先輩の話で、記憶が郷愁の彼方へ旅立ってしまった……そんな話でした。